第一種電気工事士の資格は独学で合格できる?2024/11/26
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電気工事士がステップアップを目指すときの大きなハードルの1つが第一種電気工事士でしょう。
第二種電気工事士を取得すれば、とりあえず電気工事士として働くことができます。しかし、第二種電気工事士ではできない作業も多いため、電気工事士としてのキャリア考えるといずれは第一種電気工事士の取得を目指すことになります。
この記事では、第一種電気工事の取得を目指す方に向けて、独学で合格可能か、資格スクールなどと比較した独学のメリット・デメリットについて説明します。
第一種電気工事士の資格は独学で合格可能か
結論から言えば、第一種電気工事士の資格は独学で合格することは可能です。
実際に独学で合格したという人はたくさんいます。第一種電気工事士の受験勉強に必要な参考書や問題集は書店にたくさん並んでいますし、インターネットで購入することも可能です。また、技能試験(実技試験)も道具や材料をそろえれば自宅で練習できます。
一方で、資格スクールなどを利用して合格し、独学よりもよかったと考えている人もいるでしょう。自分に合う学習方法は人それぞれなので、メリット・デメリットを理解し、自分に合った方法を選択することが重要です。
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第一種電気工事士の資格を独学で目指すメリット
まずは第一種電気工事士の資格を独学で目指すメリットを4つ紹介します。
自分のペースで学ぶことができる
独学のメリットのひとつは自分のペースで学べることです。
資格スクールで集団講義を受けていると、全体の学習ペースに合わせて学ぶことになります。わからないところがあっても、そのまま講義が進んでしまい置いて行かれてしまった・・・といったことにもなりかねません。
もちろんスクールによって個別のフォローアップがある場合もありますが、それも限界があり、講義についていけないことがプレッシャーになってしまう可能性もあります。
それに対して、独学であればすべて自分のペースです。わからないところは繰り返し学ぶことができます。すでに知っているところや簡単に感じる部分は飛ばしたり、短時間で済ませたりして、苦手なところを重点的に効率よく学習することも可能です。
時間に縛られず学ぶことができる
独学であれば時間に縛られることがありません。それに対し、資格スクールなど、誰かに学習を支援してもらう方法では、決まった時間に講義を受けるなど、特定の時間帯に学習する必要があります。
最近ではオンラインで受講できるものも増えていますが、それでも講師にリアルタイムで質問したり、技能試験の合否判定を受けたりと、相手がいる場合は24時間対応というわけにはいきません。
第一種電気工事士は実務経験が必要な資格のため、合格を目指す方の多くはすでに電気工事士として働いている方でしょう。仕事や家庭の事情でなかなか思うように時間を取れないケースも多いものです。
そのような場合は、自分で学習する時間を決めることができる独学のメリットは大きいですね。
通学の時間や手間がかからない
資格スクールに通う場合、学習の時間に加えて通学の時間や手間がかかります。
ただでさえ資格のための学習は大変なものです。それに加えて、毎回スクールまでの往復の移動時間や教材を持ち運ぶ手間がかかるとなると、そのコストはバカになりません。
独学であれば、自宅や電車移動の途中など好きな場所で学習を行うことができるため、通学の時間や手間はかかりません。
もちろん、資格スクールでもオンラインで受講できるものであれば通学の必要はないため、最近は改善されているポイントです。
比較的お金がかからない
第一種電気工事士の試験に向けて独学で学習する場合にお金がかかるのは、テキストと技能試験用の工具、材料程度でしょう。
また、電気工事士として働いている方であれば、工具はすでに持っているものを使えますし、材料は廃材や中古のものが手に入る方も多いため、テキスト代だけで済むケースもあります。
工具や材料がない場合は、第一種電気工事士の試験対策用のセットがモノタロウやAmazonなどのECサイトで購入できるため、バラで買うよりも便利です。
それでは、独学でかかる費用のモデルケースを考えてみましょう。
項目 |
内容 |
金額(想定) |
テキスト |
学科試験及び技能試験で各1冊 |
6,000円 |
工具 |
技能試験用の市販セット
など |
15,000円 |
材料 |
技能試験用の市販セット
など |
21,000円 |
合計 |
31,000円 |
テキストだけで済む場合は数千円、工具や材料を購入した場合でも3万円程度の費用で学習できることがわかります。
それに対して、資格スクールでは数万円~十数万円の費用が掛かります。ここで、大手スクールの第一種電気工事士講座の費用を紹介します。
講座内容 |
T社 |
U社 |
学科試験 |
教室(3日間) テキスト付 23,000円 |
通信講座 テキスト・材料付 工具なし |
技能試験 |
教室(3日間) テキスト・材料付 工具なし 50,000円 |
|
合計 |
73,000円 |
69,720円 |
大手スクールの金額を見ると、通学形式、通信講座ともに7万円程度の費用が掛かります。さらに工具は別途自分で用意するため、10万円弱の予算を見込む必要があるでしょう。
このように、独学であれば資格スクールに比べるとお金をかけずに済むことがわかります。
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第一種電気工事士の資格を独学で目指すデメリット
ここで、第一種電気工事士の資格を独学で目指すメリットだけでなく、デメリットも紹介します。デメリットも理解して自分に合った学習方法を選択しましょう。
モチベーションの維持が難しい
独学での学習は、比較的お金がかからず、自分のペースで気軽に始めることができます。しかし、その分、モチベーションを維持するのが難しい点がデメリットです。
資格スクールなどであれば、学習の時間が決まっているため、やる気が出なくてもとりあえず学習を始めることができます。なんとなくでもやり始めればやる気が出て意外と集中できるものです。
しかし、独学ではその日に学習を始めるのもすべて自分の意志次第なので、次第に学習から遠のいてしまい、だんだんとやらなくなるという方も多いでしょう。
第一種電気工事士の資格を独学で目指す場合は、合格した場合に得られる電気工事士としての今後のキャリアなどをイメージし、しっかりとした目的意識を持つことで、モチベーションの維持につながるはずです。
自分で学習計画を立てる必要がある
第一種電気工事士の資格試験は、受験できる時期が決まっています。そのため、試験の日に向けて計画的に学習を行うことが必要です。
資格スクールを利用する場合は、スクールのカリキュラムに沿って学習を進めることで、試験までに一通りの学習が完了するようになっています。しかし、独学の場合は自分で学習計画を立てなければなりません。
これから学習する内容を事前に把握して学習計画を立てることは、なかなか難しいことです。それぞれの項目にどれくらいの学習時間が必要となるかもわからないでしょう。
市販の参考書には学習にかかる時間の目安や、学習のペース配分が記載されているものもありますので、書店で内容を見て購入すると参考になります。
参考書だけではわかりづらい
独学で学習していると参考書だけではなかなか理解できないポイントにあたることがあります。特に第一種電気工事士の資格試験には技能試験もあるため、文字と図だけのテキストでは動きがわかりづらいなどの問題もあるでしょう。
資格スクールであればわからないところを質問したり、実際の作業を見たりできるためスムーズに理解できるところも、独学では理解に時間がかかったり、間違えて理解したりしてしまう恐れもあります。
最近では、動画教材の販売や書籍でもスマホやタブレットを使ってオンラインで視聴できる動画が付いているものがあります。動画で作業が確認できれば、動きがわかりやすく間違えて理解する恐れもありませんので、自信がない場合は利用を検討するとよいでしょう。
技能試験(実技試験)の自己採点が難しい
第一種電気工事士の資格試験には学科試験と技能試験があります。学科試験は選択式のため自己採点でも問題ありません。しかし、技能試験の合否判定を自分で行うのは難しいものです。
もちろん技能試験にも判定基準が設けられており、それぞれのポイントを確認すれば合否の判定ができます。しかし、電線の傷など細かいポイントを正確に見落としなく判定することが必要です。
間違った判定で合格ラインに達したつもりになってしまうと合格はできません。正しい判定ができるように、判定基準を1つずつ確認し、間違いなく合格ラインに達していることを確認しましょう。
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第一種電気工事士の資格を独学で目指す際の注意点
最後に第一種電気工事士の資格を独学で目指す際に知っておきたい注意点について紹介します。独学で合格を目指す方は参考にしてください。
学習計画を立て定期的に見直す
第一種電気工事士の資格を独学で目指す場合に、最も大切なことは学習計画をきちんと立てて効率的に学習を進めることです。そして、学習計画は最初に一度立てれば終わりというものではありません。
途中で理解に時間のかかる内容にぶつかったり、何らかのアクシデントで予定していた学習時間が確保できなかったりと、計画通りに進まないことは必ずあります。そのため定期的に学習計画を見直して、試験までに合格ラインに達するように調整していくことが重要です。
試験の情報収集とアップデートを行う
第一種電気工事士の資格試験を受けるためには、試験の情報を集めて、申し込みの時期や試験の方式などを確認しておく必要があります。試験制度は定期的に見直しが入るため、毎年必ず確認するようにしましょう。
例えば、2024年度には、これまで年1回だった試験が年2回に変更されました。これにより申し込みができる時期も変更になっているため、昨年度と同じだろうと思っていると申し込みができない可能性があります。また、過去には試験の方法が大幅に変わった年もありました。
このような間違いでせっかくのチャンスを無駄にしてしまわないよう、情報収集は必ず行うようにしましょう。
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まとめ
第一種電気工事士の資格試験に独学で合格することは可能です。計画的に学習を進めていけば、合格ラインに達することができるでしょう。
しかし、学習方法には向き不向きがあり、人によって適した学習方法は異なるので、メリット・デメリットを理解して自分に向いた方法を検討することが大切です。
すでに第二種電気工事士を取得し、電気工事士として働いている方やこれから電気工事会社への就職を考えている方は、同僚や先輩からのアドバイスを受けることで独学のデメリットに対応することができます。電気工事会社では第一種電気工事士の資格取得を励行・支援してくれる場合もあるので、うまく活用するようにしましょう。