コラム

キュービクルを屋上に設置できる?条件・メリット・費用を徹底解説2025/03/06

キュービクルは、適切な条件を満たせば屋上に設置することができます。実際に多くのオフィスビルや工場、商業施設の屋上にキュービクルが設置されているのです。

キュービクルを屋上に設置することは、少ないスペースを有効活用しながら必要な電力インフラを確保する優れた解決策の一つです。しかし、屋上という特殊な環境への設置には、通常の地上設置とは異なる技術的要件や法的規制が存在します。

この記事では、キュービクルの屋上設置の条件やメリット、必要な費用などを解説します。


屋上設置のメリット・デメリット

キュービクルの屋上設置を検討するにあたって、まずはメリットとデメリットを知ることが大切です。


屋上設置の主なメリット

キュービクルを屋上に設置する主なメリットは以下の通りです。

  • スペースの有効活用
  • セキュリティ面の向上
  • 外構の環境や美観の改善
  • 将来的な拡張性の高さ
  • メンテナンススペースの確保

屋上設置の最大のメリットはスペースの有効活用です。特に都市部の商業地域や工業地域では土地価格が高く、地上での設置スペース確保が困難な場合があります。屋上スペースを活用することで、貴重な地上部分を他の用途に使用できるため、土地利用効率を大幅に向上させることができます。

また、セキュリティ面の向上も重要な利点です。地上設置のキュービクルは一般の人が近づきやすく、いたずらや破損のリスクがありますが、屋上であれば容易にアクセスを制限できます。

大型の電気設備であるキュービクルが無造作に設置されていると、外構の環境や美観の観点から望ましくないと感じる人もいるでしょう。屋上であれば地上部分の景観を損なうことがありません。

キュービクルの設置スペースでは、将来的な拡張性も考慮すべきポイントです。屋上であれば周囲のスペースに余裕があり比較的容易に設備の増設や更新作業が行える場合が多いでしょう。メンテナンス用の作業スペースも確保しやすく、長期的な運用面でのメリットがあります。

屋上設置のデメリットと注意点

キュービクルを屋上に設置する主なデメリットは以下の通りです。

  • 建物構造への負荷
  • 外気・風雨・天候による影響
  • メンテナンス時のアクセスの悪さ
  • 設置工事における機器搬入や安全確保

キュービクルは重量のある設備であり、屋上設置には建物の構造計算を行い、必要な強度があるか確認しなければなりません。既存建物の場合、当初の設計で屋上設備の荷重を考慮していない可能性があり、大規模な補強工事が必要となる場合があります。

キュービクルを屋外に設置すると、外気や風雨の影響により室内よりも劣化が早くなる傾向にあります。さらに屋上は地上の屋外に設置する場合と比較して風雨や日射の影響を強く受けます。

台風や強風時の安全対策、夏季の高温対策、積雪地域では雪荷重への対応など、厳しい環境条件への対策が必要です。

屋上へのアクセス方法や作業環境の制約により、設置工事やメンテナンスが複雑になる場合があります。資機材の搬入や作業員の安全確保のため、大型のクレーンや足場、落下防止柵などが必要となるケースが多いでしょう。工事が複雑化すると費用や工期が増加します。

設置場所選択の判断基準

キュービクルの設置場所には、屋内の電気室、地上の屋外スペース、屋上と様々な選択肢があります。その中で様々な条件を元に最適な設置場所を選択しなければなりません。
屋上設置を検討する際の判断基準として、まず建物の構造的余裕度を確認する必要があります。構造計算により屋上の積載荷重制限を把握し、キュービクルの重量に対する安全性を検証します。
次に屋内や地上に設置した場合との比較検討を行います。初期費用や維持管理費用を含めた総合的なコスト比較を実施し、屋上設置の優位性を確認します。
長期的な運用計画も考慮が必要です。将来の設備更新計画、メンテナンス体制、緊急時の対応方法などを含めて、屋上設置の持続可能性を評価することが重要です。

屋上設置に必要な条件と法的基準

キュービクルを屋上に設置するために必要な条件を説明します。これらの検討は高度な専門知識が必要な内容が多いため、実際に計画する場合は専門家に相談しましょう。

構造的要件と安全基準

キュービクルを屋上に設置する前提条件として、建物構造がキュービクルの重量に耐えられなければなりません。

キュービクルの重量は容量により大きく異なりますが、50kVA程度の小型機器でも約1.5トン、500kVA以上の大型機器では5トン以上となることがあります。建物の設計時に想定された屋上積載荷重を超える場合は、構造計算書の再検討と必要に応じた構造補強が必要です。

基礎の設計では、屋上面への荷重分散と固定方法を適切に設計する必要があります。コンクリート基礎を新設する場合は、既存屋上の防水層への影響を最小限に抑える工法を選択し、アンカーボルトによる確実な固定を行います。

耐風性能の確保は屋上設置特有の重要な要件です。地上よりも風速が強い屋上環境では、風荷重に対する安全性を確保する必要があります。キュービクル本体の転倒防止対策に加え、扉や外装材の飛散防止対策も重要です。

耐震性能の検証では、建物と一体となった耐震設計が求められます。キュービクル自体の耐震性能に加えて、建物との固定部分や配管・配線との接続部分での地震時の挙動を考慮した設計が必要です。

建築基準法による規制

屋上にキュービクルを設置する場合、まず高さ制限の確認が必要です。建築物の高さは、用途地域や地域ごとの都市計画によって制限されています。このため、キュービクル設置により建物の最高高さが制限を超えないよう注意しなければなりません。

キュービクルが高さ制限の対象となるかは、建築面積に対する比率などによって変わるため、細かい検討が必要です。

また、建蔽率・容積率への影響を検討しておいた方がよいでしょう。通常、屋上設置のキュービクルは建築面積や延床面積に算入されません。しかし、メンテナンスのために屋上へ階段でアクセスできるように塔屋を設けると床面積が増加します。

また、構造安全性の確認が求められます。場合によって構造計算書の提出や構造安全性の確認申請が必要となる場合があります。

屋上キュービクル設置にかかる費用の目安

屋上キュービクル設置の費用は、地上設置と比較して様々な追加要素が発生します。基本的な費用構成を理解することで、適切な予算計画を立てることができます。

キュービクル本体の価格

キュービクルの設置にかかる費用は大きくキュービクル本体の価格と設置工事費に分けられます。本体の価格は、屋上設置でも地上設置でもキュービクル本体の価格に大きな差はありません。

最大電気容量

相場価格

小容量:100kW

200万円

中容量:500kW

1,000万円

大容量:1000kW

2,000万円

ただし、屋上設置に適した防水・防塵性能や耐震性能の高い機器を選択する場合は、通常品よりも高額になることがあります。

工事費の増額要因

キュービクルを屋上に設置する場合に、地上設置と比較して工事費が増える主な要因を紹介します。

  • 建物構造の調査・強度の計算
  • 構造補強工事
  • 基礎工事費用・防水工事費用
  • クレーン作業・安全対策費用
  • 電気工事費用の増加

屋上にキュービクルを設置する場合、まず建物がキュービクルの重量に耐えられることを確認しなければなりません。建物構造の調査や強度の計算には専門的な作業が必要なため、コストがかかります。

既存建物の構造計算の結果、補強が必要と判断された場合、構造の補強工事が必要となり追加コストが必要です。新築時から屋上設置を計画している場合は、この費用を大幅に削減できます。

屋上設置の基礎は、地上設置よりも高額になる傾向があります。防水層への影響を最小限に抑える特殊な工法や、荷重分散のための基礎構造が求められるためです。

既存建物でキュービクル基礎工事により既存防水層に影響が生じる場合、防水の復旧や補強が必要となることもあります。

キュービクルを搬入するためのクレーン作業費用は屋上設置で最も高額になる項目の一つです。キュービクルの重量と設置階数により必要なクレーンの性能が決定され、設置場所が高いほど費用が高額になります。

また、安全対策費用として、屋上作業での墜落防止設備、仮設足場、安全ネットなどの設置が必要です。

電気工事費用では、配線長の増加、貫通部の防水処理、風雨対策などにより、地上設置より高額になります。

このように、屋上設置に特有の工事費の増額要因が多くあるため、工事費が高額になる可能性を考慮しておいた方がよいでしょう。

容量別の屋上キュービクル設置にかかる費用の目安

ここで、容量別の屋上キュービクル設置にかかる総額費用の目安を見てみましょう。キュービクルの設置工事にかかる費用は、設置場所の条件などによって大きく変動するのであくまで参考程度としてください。

最大電気容量

総額費用の目安

小容量キュービクル(100kVA)

250~500万円

中容量キュービクル(500kVA)

1,500~2,200万円

大容量:1000kW

3,000万円以上

小容量キュービクル(100kVA)の屋上設置では、設置工事費として約100万円~200万円程度が必要です。構造補強が不要な場合の最小構成では約250万円程度から、補強工事が必要な場合は約400万円~500万円程度が総費用の目安となります。

中容量キュービクル(500kVA)では、機器本体費用に加えて、設置工事費として350~500万円程度が必要です。この容量帯では構造への影響も大きくなるため、構造補強費用を含めた総費用は約600万円~1,200万円程度が相場となります。

大容量キュービクル(1,000kVA以上)の場合、機器本体費用に加えて、設置工事費として1,000万円程度が必要です。大型クレーンの使用や大規模な構造補強により、総費用は3,000万円以上となります。

コスト削減のポイント

キュービクルは大型の電気設備であり、設置には高額なコストがかかります。特に屋上設置では地上設置よりもさらに高額になる傾向です。そこで、コストを抑えるためのポイントを紹介します。

  • 新築時の計画的設置
  • 複数設備の同時設置や施工時期の調整
  • 補助金制度の活用

建築設計段階からキュービクル設置を計画することで、キュービクルの設置を構造設計に組み込み追加の補強工事を不要にできます。これにより、構造補強費用を大幅に削減できます。

また、空調室外機や受水槽などの他の屋上設備がある場合は、キュービクルを同時に設置することで、クレーン費用や安全対策費用を削減できます。

最近のキュービクルでは、省エネルギー設備として各種補助金制度を利用できる場合があります。事前に対象制度を調査し、適切な申請手続きを行うことで実質的なコスト削減が可能です。

まとめ

キュービクルの屋上設置は、スペースの有効活用、セキュリティ向上、騒音対策などの明確なメリットがある一方で、構造的要件や法的規制、費用面での課題も存在します。初期費用は地上設置より高額になりますが、土地利用効率の向上や長期的な運用メリットを考慮すると、多くの場合で投資効果が期待できます。

成功の鍵は計画段階での十分な検討と専門家との協議です。屋上設置を検討する際は、建物の構造的余裕度、法的規制への対応、費用対効果を総合的に評価し、専門家のアドバイスを受けながら最適な判断を行うことが重要です。