コラム

第二種電気工事士ってどんな資格?何が出来る?2024/11/21



電気は、我々の生活にとってなくてはならない重要なインフラです。身の回りには、様々な電気設備、電気機器があふれています。
しかし、電気設備の設置や修理といった電気工事には専門的な知識と技術が必要です。そのため、電気工事は電気工事士の資格がなければ行うことができません。
近年、再生可能エネルギーの普及やスマートホーム化の進展により、電気工事のニーズが高まっています。そんな中で注目を集めているのが「第二種電気工事士」という資格です。
この記事では、第二種電気工事士の概要から将来性、取得に関する情報まで、詳しく解説していきます。

関連記事
電気工事士とはどんな仕事?第二種・第一種電気工事士は転職・就職に有利?

第二種電気工事士とは

第二種電気工事士は、電気工事士法に基づいて定められた国家資格です。主に一般住宅や小規模店舗などの600V以下の低圧電気工事を行うことができる資格として知られています。
電気は私たちの生活に欠かせないものでありながら、取り扱いを誤ると非常に危険です。そのため、電気工事は有資格者の電気工事士にのみ認められています。第二種電気工事士は、電気工事士の資格のひとつであり、取得することで電気工事に従事可能です。
第二種電気工事士の資格取得には特別な要件はありません。年齢や学歴、実務経験に関係なく誰でも受験することができます。このアクセスのしやすさも、多くの人から支持される理由の一つです。
電気工事に関するより上位の資格は、取得のために実務経験等の要件が設けられています。そのため、電気工事士として活躍したい方が最初に目指す資格が第二種電気工事士なのです。

第二種電気工事士を取得すると何ができる?


第二種電気工事士を取得すると、電気工事を行うことができます。しかし、すべての電気工事に従事できるわけではありません。
それでは、第二種電気工事士では具体的にどのような電気工事ができるのでしょうか?ここで第二種電気工事士を取得するとできる電気工事の範囲や、第一種電気工事士など他の資格との違いを説明します。

第二種電気工事にできる電気工事の範囲

第二種電気工事士の資格でできる電気工事は、「600V以下の低圧で受電する一般電気工作物の電気工事」を行うことができます。
具体的には以下のような工事が可能です。
戸建住宅の電気工事
一般的なアパート・マンションの電気工事
小規模店舗・事務所の電気工事
その他、低圧受電する小規模な建物の電気工事
近年では、これらの基本的な電気工事に加えて、太陽光発電システムの設置工事や電気自動車の充電設備工事など、新しい分野での需要も増加しています。特に住宅関連の電気工事では、新築時の配線工事からリフォーム時の設備更新まで、幅広い業務に携わることができます。
一定規模以上の電力を使用する建物では、高圧受電と呼ばれる受電方式が使われます。第二種電気工事士では、高圧受電を行う建物での電気工事はできません。
そのため、従事できる電気工事は限られますが、実務経験を積みさらに上位の第一種電気工事士の資格へとステップアップすることで、大規模な電気工事にも従事できるようになります。


活躍できる職場

第二種電気工事士の資格を持つ人材は、様々な業界で重宝されています。
電気設備の工事やメンテナンスを行う職場は、電気工事会社に限りません。ビルメンテナンスや設備メンテナンス会社、家電量販店のアフターサービス部門、業務用機器のリース会社など、活躍の場は多岐にわたります。
また、公共施設の設備管理部門や住宅メーカーの施工部門なども、重要な就職先となっています。さらに、経験を積んだ後には独立開業という選択肢も開かれています。

関連記事
電気工事士の将来性ってどうなの?転職・独立もできる?


電気工事士には大きく第二種電気工事士と第一種電気工事の二種類があります。ここで、第一種電気工事士との違いを説明します。

従事できる電気工事の範囲の違い

第二種電気工事士と第一種電気工事士では従事できる電気工事の範囲が異なります。


資格名 従事できる電気工事の範囲
第二種電気工事士 600V以下で低圧受電する電気設備の工事
第一種電気工事士 最大電力500キロワット未満の電気設備の工事



第一種電気工事士は、最大電力500キロワット未満という制限はあるものの、極一部を除き、ほとんどの電気工事を行うことができます。

第二種電気工事士では、600V以下で低圧受電する電気設備の工事を行えます。逆に言えば、高圧で受電する電気設備の工事は行えません。

50kW以上の電力を使用する建物は、規定により高圧受電を行っています。そのため、一定規模以上の建物では、第二種電気工事士の資格では工事ができないということです。


第一種電気工事士は第二種電気工事士の上位資格

第二種電気工事士では、主に低圧電気工事に関する基本的な知識と技術が求められます。一方、第一種電気工事士は、高圧電気設備の取り扱いや発電・変電設備といった、より高度な電気理論や施工技術、さらに関係法令などの幅広い知識が必要です。
このため、第一種電気工事士は第二種電気工事士の上位資格であり、収入などの待遇も一般的に高くなります。
それでは、最初から第一種電気工事士を取得すればよいと思われる方もいるでしょう。しかし、第一種電気工事士は実務経験などの要件を満たさないと取得することができません。
そのため、第二種電気工事士を取得し、電気工事会社などで実務経験を積みながら第一種電気工事士を目指すというのが、一般的なキャリアプランになります。

関連記事
電気工事士に有効な資格一覧!ステップアップで給与アップや独立も目指せる!


第二種電気工事士は取るべき?

第二種電気工事士は、電気工事業界の入口と言える資格です。それでは、これからキャリアプランを考える方にとって第二種電気工事士はどれくらいメリットがある資格と言えるでしょうか。
ここで、第二種電気工事士という資格の価値について、需要や将来性を元に見てみましょう。

電気工事士は安定した需要のある仕事

電気は街中のあらゆるところで使われています。そのため、電気工事という仕事がなくなることはありません。
そのため、電気工事士の人材価値は高く、安定した需要のある仕事と言えるでしょう。就職・転職・開業など様々なキャリアプランを考えることができます。
電気工事士はまさに手に職がつく仕事と言えます。電気工事の知識や技術は、別の会社に転職しても有効なスキルです。また、経験を積み十分な技術が身に付けば一人親方として独立開業することも可能です。

電気工事士の将来性

電気工事士の需要は、社会のデジタル化や環境への関心の高まりとともに着実に増加しています。政府が掲げる2050年カーボンニュートラル目標に向けて、省エネ設備や太陽光発電をはじめとした再生可能エネルギー発電の設置工事は今後も継続的に増加すると予測されています。
また、住宅のスマートホーム化やIoT機器の普及により、家庭内の電気設備も急速に高度化・複雑化しています。これに伴い、専門的な知識を持った電気工事士の需要も高まっています。
一方で、現在は現場で電気工事を行う技術者が不足しているといわれています。この傾向は今後さらに深刻化すると予想されているのです。
そのため、今後電気工事士の人材価値はますます高くなっていくと考えられます。

キャリアアップの可能性

第二種電気工事士として経験を積んだ後は、様々なキャリアパスが用意されています。
より高度な資格である第一種電気工事士や、電気工事の施工管理をするための資格である電気工事施工管理技士を取得すれば、より高度な業務を行えるようになります。
また、電気工事にも様々な分野があるため、特定の分野に特化した専門技術を身に付けるといった方法も考えられます。
このように、電気工事士は電気工事に関する技術力という明確な指針があるため、自分の努力で着実にキャリアアップしていくことが可能です。
経験を積み、知識や技術力を身に付ければ、管理職への昇進や独立開業という道も開かれるでしょう。

関連記事
電気工事に資格は必要?取得していないとどうなる?

第二種電気工事士の試験難易度について


ここで、第二種電気工事士の取得に興味を持っている方に向けて資格試験について紹介します。

試験の構成と特徴

第二種電気工事士の試験は、学科試験と技能試験の2段階で実施されます。学科試験では電気の基礎知識や法令の理解が問われ、技能試験では実際の工具を使用した実技作業が求められます。
学科試験は、電気理論、電気工事、法令などに関する知識を問うもので、マークシート式の選択問題で出題されます。学科試験の合格率は60%弱です。
技能試験は、電気工事の材料の判別などの筆記と、実際に工具や材料を使って電気回路を作る実技で構成されます。技能試験の合格率は70%程度です。
全体を通しての合格率は40%程度で、何の対策もせずに受かる簡単な試験ではありませんが、独学での合格も十分に可能な難易度と言えるでしょう。

効果的な学習方法

筆記試験の対策としては、まず基本的な電気理論の理解から始めることが重要です。参考書や問題集を活用しながら、特に過去問題を繰り返し解くことで、出題傾向を把握することができます。
技能試験については、実際の工具を使用した練習が不可欠です。多くの受験者は、技能試験用の工具セットを購入し、休日を利用して実技の練習を重ねています。また、実技講習会への参加も効果的な対策の一つとして推奨されています。
技能試験は事前に公開されている候補問題の中から出題されます。そのため、反復練習によって十分な対策を行えば、それほど難しくはないでしょう。

まとめ

第二種電気工事士は、電気工事の世界への確実な第一歩となる資格です。取得に向けた学習や試験対策には一定の時間と労力が必要ですが、その価値は十分にあると言えます。
社会のデジタル化や環境への関心の高まりにより、電気工事士の需要は今後も安定的に存在し続けると予想されます。再生可能エネルギーの普及やスマートホーム化の進展により、新たな業務領域も広がっています。
資格取得に向けた学習は決して楽ではありませんが、将来性を考えれば十分に価値のある投資といえるでしょう。まずは参考書や問題集を手に取り、自分のペースで学習を始めてみることをお勧めします。確かな知識と技術を身につけることで、電気工事のプロフェッショナルとして活躍する道が開かれています。